189 :トンネル:03/03/21 01:17
子供の頃、ばあちゃんの家に遊びに行った時のことです。

同じくらいの年のいとこ2人と姉と、かくれんぼをはじめました。
鬼になったのは一つ下のいとこでした。
ばあちゃんの家に行く度にかくれんぼばかりしていたので、
ばれにくい所は過去にもう隠れたことがあり、(タンスの上のダンボールの中や玄関の下駄箱の下など)
隠れる場所が殆ど無かったのですが、
その日も気合を入れて、隠れる場所を探し始めました。

ふと目に付いたのが、仏間の押入れ。
上の段に上り何気なく上を見ると、板がほんの数ミリくらいずれていました。
押してみたら持ち上がったので、そこに這い上がり板を元に戻して、外から漏れる光を頼りにあたりを見回すと、
屋根裏というよりトンネルみたいな、長い通路のようになっていました。

トンネル
190 :トンネル:03/03/21 01:18
ばあちゃんの家は細長い平屋だったんですが、どうやら端から端までありそうなくらいの通路です。
高さは大人がハイハイしてやっとくらい。
押入れの近くにいるとバレると思った私は、とりあえずその通路を移動することにしました。
古い家なので隙間も多く、真っ暗でもなかったので、あまり恐怖も感じず、
四つん這いになってどんどん進んで、もうすぐ家の端まで着くぞという時に、
突然天井と言うか、這ってた屋根裏の板が途切れてて、私はそのまま頭から落ちてしまいました。
落ちた先には古くてかび臭い布団が沢山置いてあったので、幸い怪我も無かったんですが、どうもおかしいんです。
ばあちゃんの家にそんな部屋はない。
上を見上げると、自分が落ちてきた場所が見えたんですが、結構高く、どう見ても平屋の一階と言うよりは地下。
周りは土と石でした。
なんとか上ろうと思って手で回りを探ると、何かスイッチのようなものがあったので押してみると、
上からぶら下がったコードに付いていた裸電球が点きました。


191 :トンネル:03/03/21 01:18
明るくなったことで、回りの状態を見ることができました。
壁にぽっかり空いた横穴。
とりあえず這い上がるのは無理そうだし、この穴を通ればどこかに出られると思い、
四つん這いになってその横穴を進み始めました。
地面にはさっきあったような布団が敷いてあるようです。
ジメジメしてて気持ち悪かったけど、だんだん怖くなってきたので、どんどんどんどん進んでいき、
もう電気の明かりも届きません。
なんだか微妙に登り坂になっていて、ちょっと疲れたけど、
それでもどんどんどんどん進んで行くと、いきなり何かにぶち当たりました。
薄いベニヤ板みたいなものが立てかけてあったらしく、
板が倒れて穴からようやく脱出・・・したのはいいんですけど、見た事もない部屋。
木の檻っていうか、格子がはまってて、出口らしき所には大きな鍵がついていて出られません。
恐さがピークに達した私は、大声で泣き喚きました。


196 :トンネル:03/03/21 01:29
すると、檻?の外の更に外から女の人の声が。
「誰かいるの?」
「わかんないけど、ここに来ました!助けてください!」
「ちょっと待ってて!」
ガチャガチャと音がして、檻の外の扉が開きました。
どこか蔵の中の、小部屋のようなところにいるようです。
「ここの鍵ないんだよね。ちょっと待っててね」

少しして、おっさんが現れました。
不思議そうな顔をしながらも、鍵をガチャガチャやったり引っ張ったりして、開けようとしてましたが開かず、
結局斧で叩き壊して救出してくれました。
名前とどこからきたのか聞かれ、ばあちゃんの家から穴を通って、何故かここに出たことを説明すると、
おっさんがばあちゃんの家まで、おんぶして連れて行ってくれました。


198 :トンネル:03/03/21 01:30
家で遊んでたはずが、おっさんにおんぶされて帰ってきた私に、じいちゃんもばあちゃんも驚いていました。
私が「この人に助けてもらった」と説明すると、不可解ながらも、にこにことお礼を言ってました。
しかし、「この子が、どこからか穴を通ってうちの蔵に入った」という話をおじさんがした途端、
二人は突然「出て行け!」と怒鳴りだし、おじさんを追い帰してしまいました。

なんかすまないことをしたなぁと思った私は、じいちゃんに、
「仏壇の部屋の押入れから行ったんだよ。
 穴があのおじさんのうちのほうまで繋がってて、勝手に蔵に入っちゃったんだから、おじさんは悪くないよ」
と説明しました。
するとじいちゃんは、「そんな所から、あんな遠くまで繋がってるわけが無い!」と怒鳴り、
仏間に行くと、天井を沢山の板と釘でめちゃくちゃに打ち付け、塞いでしまいました。


199 :トンネル:03/03/21 01:33
その後は恐くて、あのトンネルのことは口にできませんでした。
だから、あれが何なのかはさっぱりわかりません。
蔵のあった家にはその数ヶ月前まで、人付き合いを殆どしないおばあさんが一人で住んでいたんですが、亡くなり、
其の後、私を助けてくれた夫婦が住んだものらしく、蔵のことはよく知らなかったようです。
じいちゃんはとっくに亡くなり、ばあちゃんも数年前に亡くなり、今はあの家は人手に渡っています。
最近両親に聞いてみましたが、そんなもの知らないと言ってました。

あれはなんだったんでしょう?
大量の布団。電気。トンネル。
考えるとなんか恐いので、あまり考えないようにしています。

関連:『ある家系