7 :6:2001/01/30(火) 20:41
小学校の頃の話です。

おいらが行ってた小学校の側に竹林があって、
「そこには怪しい人が出るから行っちゃ駄目です」って言われてたのね。
俺は結局行かずじまいやったんやけど、結構周りは行ってる人が多くて、
みんな「変な小屋があって浮浪者が住んでる」とか、「小屋があって扉がどうしても開かない」とか、
まあ要は「木造の古い小屋が一つぽつんとある」って、みんな共通して言ってました。

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8 :6:2001/01/30(火) 20:42
何時の間にかその小屋に行ったという事実は、『勇気のある奴』のステータスみたいな感じになって、
悪ガキ連中はみんな行こうとしてた記憶があるっす。

んで、ある日Oって奴とUって奴が、二人で行こうって話になったらしいのね。
両方一応は友達だったんだけど。
まあ、行く奴はもうみんな行ってて、今更行くのは言わば遅れ馳せながらって感じやったんやけど。
放課後やったかなぁ?記憶あいまいでスマン。
とにかく放課後二人して行ったらしいです。つーか行きました。


9 :6:2001/01/30(火) 20:42
小屋に向かった二人は、深い竹林の中を例の小屋捜して歩きます。
遠目には小さい竹林やったのに、ちょっと入ったらすごい暗かった記憶があります。あれは不思議やった。
そんで二人、小屋は例のごとく発見したらしいです。
んで、すぐ入ってみようって話になったんやと。


10 :6:2001/01/30(火) 20:43
木造の扉を開けて中に入ったんですが、先に入ったUが『うわ、やべ!』って思ったらしいです。
中で人が首吊って死んでたんやと。
そんでどうしよとか思ってたら、突然後から入ってきたOがすごい声で叫び出したらしいです。
「お母さん!!」って。


11 :6:2001/01/30(火) 20:43
叫び続けるOを置いて、Uはダッシュで逃げたらしいです。
そん時俺は学校のグラウンドで、みんなとドッチボールか何かやってて、
そこへUがダッシュでやって来たんすよ。グラウンド越しに見える竹林の方角から。
めっちゃでかい声で、「Oのおかんが死んでる!」って言いながら。
あん時は凍りました。


12 :6:2001/01/30(火) 20:43
その日はすごい騒ぎになったと思いますが、よく覚えてないっす。
とにかくOはその日から学校来なくなって、そんで結局、一度も顔出さないまま転校していきました。

問題はここから。


13 :6:2001/01/30(火) 20:44
ありがちな話っす。「あの小屋に幽霊が出る」って話になるんすよ。
その自殺以来本当に行く奴はめっきり減って、みんな行きもしないのにキャーキャー言ってました。
まあ俺もそうか…。
当時物知りの方だった俺は、首吊り死体がすさまじい状態になるって何かで知ってたので、
それを詳しくみんなに話してました。おもしろ半分に。
みんなまたそれを聞いて騒ぐわけですよ。「首吊り女の霊が出る」って。

そんである日、また別の友人Sに誘われたんすよ。
「お前、そんなに霊に詳しいんやったら、見に行かん?」て。
俺はビビリだったんで速攻断ったんですが、後で話を聞かせてもらう約束はしました。
Sは結構仲間内でも悪い方で、奴なら本当に行くと思ったので。
そんで何人かで、本当に放課後、例の小屋を見に行ったらしいです。


14 :6:2001/01/30(火) 20:50
次の日、学校に行った頃には、俺はもうそんな話すっかり忘れてたんですが、
Sがその日すんげー暗かったのね。いつも騒いでばかりの問題児が。
それで俺も昨日の事思い出して、「本当に行ったの?」って聞いたんすよ。
そしたら「うん」ってそれだけ。
いつもなら自分からがーって喋るはずのSがすごい大人しかったんで、
これはマジで出たか!?って思って、
その日一日Sにべったりくっついて、根掘り葉掘り聞いてたんですよ。昨日小屋で何があったかを。
今考えると嫌なガキだな(W


15 :6:2001/01/30(火) 20:51
ところが、何聞いても教えてくれない。
「何か見たの?」には「うん」って言うけど、「何を見たの?」は答えてくれない。
例えハッタリでも、すごい顔した女の幽霊見た、とか言うじゃないですか?
俺はもう、Sは本当に幽霊を見たんだって思って興奮して、
どんな幽霊か、どんな感じしたのかって、結局放課後までずっと聞いてました。
そしたら遂にSが、「誰にも言うなよ。そんで、あそこには絶対行くな」って言い出しまして。
そん時、俺がどんなに嬉しかったかはわかると思います。


16 :6:2001/01/30(火) 20:51
Sが言ったのは一言だけです。
「扉開けたら中に、すげー声で叫んでるOがいた」って。


17 :6:2001/01/30(火) 20:51
オチらしいオチはありません。
Sはその後、二度とその話はしてくれないし、俺もおもしろ半分で人に怖い話をする事は減りました。
小屋のあった竹林は潰されて、今は筆ペンを作る工場が建ってます。
転校していったOがその後どうしてるかは誰も知らないし、
俺は一回だけ見せてもらったOの妹の顔を時々思い出すだけです。

『竹林で(後日談)』へ続く>>